日本を旅するブログ

旅行会社に勤めて4年目のOL。月に1度、添乗員として日本各地を旅しています。仕事とプライベートを合わせた旅の日記。どなたかの役に立てば、また良い暇つぶしになれば幸いです。よろしくお願いします。

倉敷から瀬戸内の島々へ、現代アート尽くしの旅②

こんにちは🌞

さてさて、前回の記事の続きです。

2日目、23日は、朝ホテルを出発し、岡山県宇野港から、瀬戸内に浮かぶ直島の宮浦港(みやのうらこう)へとフェリーにて向かいました。

20分ほど、あっという間の船旅です。

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内海なので揺れることもなく、フェリーもきれいで、心地よい船旅でした。

20分とたたずに、あっという間に直島に到着!!

島を代表するシンボル、草間彌生さんの「赤カボチャ」が見えました。これには大興奮です🎵✨
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もうひとつの屋外アート作品、黄カボチャは、残念ながら2年ほど前の台風被害によって流されてしまい、現在は修復中とのこと・・・。今回は、その姿を見ることはできませんでした(黄カボチャは、ベネッセハウス パーク棟の近くにありました)

 

到着後は、バスを走ること5分ちょっとで、古い集落のある本村地区(ほんむらちく)に到着。午前中は、家プロジェクト巡りへと向かいました。

 

ここで少し、「アートの島」として知られる直島の歴史についてお話ししたいと思います。

かつて、「瀬戸内海の島に世界中の子どもたちが集える場所をつくりたい」との思いを抱いていた福武書店(当時)の創業社長、福武哲彦と、直島に教育的な文化エリアを開発したいとの夢を描いていた当時の直島町長、三宅親連の思いが重なったことからはじまりました。

 

そうして、「直島開発」として始まったのが、島のアートプロジェクト。

使われなくなった古民家を改装し、「あるものから無いものを作る」をコンセプトに、世界中のアーティスト・芸術家の協力の元、次々と島にアート作品を展開していきました。

 

1989年には「直島国際キャンプ場」がオープン。

建築家の安藤忠雄さんが設計した、「宿泊できる美術館」、美術館と宿泊施設が一体化した「ベネッセハウス」は、1992年にオープンしました。

 

ベネッセハウスのオープン後、1998年3月から始まったのが「直島家プロジェクト」。

主に、古い家屋を改修し、アーティストが「空間そのものを作品化する」プロジェクトが始まったのです。現在では7軒の作品が公開されています。

 

さてさて、それではさっそく家プロジェクトの作品について紹介していきたいと思います。

①南寺の横にある公園には、安藤忠雄さんが設計した公衆トイレが。

安藤さんは「コンクリート打ちっぱなし」の建物で知られていますが、こちらか珍しく木造建築です。

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①南寺

ジェームズ・タレルの作品のサイズに合わせ、安藤忠雄がそのインスタレーションを実現する建物を建てました。
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南寺は、実際にかつてお寺のあった場所です。

人数制限があり、中に入ると本物の暗闇が広がります・・・。あまりに暗くて灯りが一つもなく、一寸先も見えず・・・、盲目になった気分になりました。

それもそのはず、この南寺は「ホンモノの暗闇を体験する」というものなのです。

暫く、音もない何もない暗闇の中に座っていると、、うっすらと、目の前に四角い「何か」が見えてきました。

ここから先は書きませんので、実際に訪れて、「ホンモノの暗闇とは何か」を体感してみてください!!

人間の目の錯覚や暗闇への順応化などをうまく利用された作品でした。
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次のアート作品へと向かって歩いていきます。

安藤忠雄さんの「ANDO MUSEUM」。今回は時間がなかったので、ここはスキップしました。

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実際に、島に住む方が一体となり、家プロジェクト以外にも島を歩いていると、至る所にアートが広がっていました。
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集落の中にある古民家に飾られた、草間彌生さんの「赤カボチャ」と「黄カボチャ」
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つづいては・・・

②碁会所へ。

こちらは、実際にその作品の名前の通り、碁を打つ場所だった建物を作品化しています。速水御舟の「名樹散椿」から着想した作品。庭の本物の五色椿(ごしきつばき)と作品が、対比的な効果を生んでいます。
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ふたつの対照的な碁会所があり、左側のお部屋には木彫りの椿が。右手の部屋にはなにもありません。

そして、部屋の仕切りになっている「竹」ですが、実はどちらかが、木彫りで竹ではないのです。近くで見ても、どちらが本物かわからないほどの精巧なつくり!

正解は書きませんので、こちらもぜひ、訪れて答えを探してみてください♪
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続いて、3つ目の作品へ。

③角屋(すみや)

こちらは、家プロジェクトの第一弾として1998年に完成しました。

約200年前に建てられた家屋を、漆喰仕上げ、焼き板、本瓦を使った島独特の元の姿に修復。
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個人的に、今回鑑賞した家プロジェクトの中でトップ3に入る、お気に入りの作品です。(7つあるうち5つしか見ていませんが笑)

家屋に入ると、実際に靴を脱いで上がることができます。中心部にはプールが張っており、中には1~9の数字が、それぞれのスピードでカウントダウンして進んでいます。

「SEA of TIME’98」には、島内の方々もそれぞれのカウンタージェットを設置することで制作過程に参加しています。

125個のLEDデジタルカウンターは、1から9までの数字を順に表示していますが、カウントするスピード(時を刻む速さ)を島民に委ねました。

直島の5歳から95歳までの125名が参加し、思い思いのスピードに設定しました。

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「時を刻む速さ」を表すこのデジタルカウンター。

参加した冬眠からは後に、「『角屋』は私に元気を与えてくれた」、「この作品が生きる限り、自分も生きてやろうと希望の沸く場所」などともいわれている、まさに現代アートが地域や島民の生活に介在する契機になった作品なのです。


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島には、みかんの木がなっていました。

あ、言い忘れていましたが、ここ直島は、香川県に所属している島です。

 

続いて、小高い石畳の階段を登り・・・

護王神社(ごおうじんじゃ)へ。

こちらは、本村地区の氏神が祀られている同神社の改築に合わせ、杉本博司氏が設計した神社です。

石室と本殿はガラスの階段で結ばれております。

現存する神社の中での最も古様のひとつである伊勢神宮よりもさらに古い神社形式があるならば、どのような形だったのかを考え、その中で、神明づくりの社と古墳が同時に存在した時期があったのかもしれない、という独自の歴史解釈を行い、拝殿の地下に石室を設けました。

そこには、「伊勢神宮的な神道古墳時代を結びつける」というコンセプトが込められていたのです。


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続いて、向かった、5つ目の作品へ・・・

⑤はいしゃ

個人的にすごく好きな作品です。

2006年に、大竹伸朗により制作された、かつての歯医者兼住居の建物です。

テーマは「夜見る夢に出てくる家」だそう。

彫刻や絵画、スクラップなど、外観・内観共に大竹氏ならではの多様な作品様式が盛り込まれており、家全体が一つのコラージュ作品として成り立っています。

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家の塀の前にあった、表札でもないし、なんだろう??これは。とりあえずパシャリ。
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歯茎色の塀に、陶器製の歯が埋め込まれています!!なんと独特な作品・・。
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作品の中の様子。
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2階へ上がると、巨大な自由の女神像が!どういうことなのか、さっぱりですが、かなり面白い作品でした。
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今回は、5つの家プロジェクトを周りました(^^)

事前にインターネットなどを読んでも、どういうものかよくわからなかったけど、実際に目で見て、現代アートについて体感することができました。

 

午後は、ベネッセハウスミュージアム棟の館内ツアーへ。

 

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こちらかが、ベネッセハウスホールディングスの、宿泊できる美術館。

宿泊者は、8時から23時まで自由にミュージアム内の作品鑑賞が可能です。

(今回は、ミュージアム棟から10分ほど歩いた場所にある「パーク棟」の宿泊でした)

 

「直島・建築・アートの共生」をコンセプトに、瀬戸内海を望む高台に建ちます。この建物も、安藤忠雄氏の設計によるもの。

絵画、彫刻、写真、インスタレーションなどの収蔵作品に加え、アーティストたちがその場所の為に製作したサイトスペシフィック・ワークが永久設置されています。
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ブルース・ナウマン「百生きて死ね」1984
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1つずつ、「~LIVE」、「~DIE」のネオンライトが光りますが、10分に1度くらいのタイミングで全部のライトが光ります。
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安藤忠雄建築を代表する、コンクリート打ちっぱなしの美術館。

順路表示はなく、まるで巨大な迷路のように、「たくさん歩くこと」を目的にもされています。そのため、行き止まりの階段があったりと、面白い作りになっています。
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ジョナサン・ボロフスキー「3人のおじゃべりする人」1986年
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柳幸典(やなぎゆきのり)「ザ・ワールド・フラッグ・アンド・ファーム1990」1990年
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個人的に、すごく好きな作品。

各国の国旗は、よくよく近くで見ると、色付けされた砂で作られています。

そして、よくみると国旗の間には小さな配管が・・・実は、ここは蟻の通り道。この作品の中に放たれたアリたちは自由に国旗に模様をつけ、そうしてこの作品は完成しました。

 

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面白いことに、このどこの国旗の模様でもないこちらは、蟻たちが巣穴を掘ったときに通り道として掘り出した砂。

時間をかけて、小さな蟻たちが作り出した独自の模様なのです。

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遠くから見ると、全く砂で出来た作品には見えません。f:id:hakkaame218:20220326151357j:image
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約1時間ほど、ミュージアムのスタッフさんによる館内ツアーを楽しみました!

施設内の屋外にも、アート作品が点在しています。

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ベネッセハウス内は敷地内が広く、シャトルバスが走っています。

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テラスレストラン、パーク棟の様子

ミュージアム棟のギャラリーツアーのあとは、地中美術館とリーウーファン美術館へ行きました!

このふたつの美術館も、どちらも安藤忠雄建築。巨大なコンクリート造りで、迷路のような順路表示のない美術館です。

写真撮影禁止の為、写真はありませんが、地中美術館はその名の通り、地中に造られた巨大ドーム型の美術館です。どちらも見ごたえがあり、ぜひぜひ直島を訪れた際には足を運んでみてください!

 

夕食は、ベネッセハウス内のフレンチレストラン『テラスレストラン』にて、フレンチのコース料理を頂きました。

 

自家製のフォカッチャにニョッキ。どちらも美味しかったです。

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メインにはシカ肉を頂きました。臭みもなく、柔らかくて食べやすかったです。
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美味しいお食事を頂いて、この日は終了です。

翌日は、豊島へと向かいます。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました♪